5年生以下の新チームで覇を競う、第18回ジュニア・フレンドカップ交流大会(JFC)は11月22日に開幕。関東のほか福島、長野、富山の各県、さらに昨夏の全日本学童大会で8度目の優勝を果たした大阪・長曽根ストロングスなど、54チームによるトーナメント戦が5日間に渡って行われた。この大会は埼玉県吉川市で、現在はNPO法人として活動する吉川ウイングスの主催で2008年にスタート。11月30日の今大会の決勝は、長曽根がレッドサンズ(東京・文京区)を下し、初優勝を果たした。
(写真&文=鈴木秀樹)

■決勝
11月30日◇吉川市旭公園球場
▽第3試合
レッドサンズ(東京・文京区)
500000=5
003021x=6
長曽根ストロングス(大阪・松原市)
【レ】大塚、神谷、加藤ー原川
【長】川添、辻井、山瀬、山田雄、川添、山田雄ー岡林
三塁打/吉見(長)
二塁打/山本、野村(レ)川添(長)
【評】1回表、レッドサンズは二番の原川瑛仁と齊藤叶翔の連打に続き、連続暴投で先取点を奪うと、四球に続いて五番の山本駿翔、野村咲翔が連続二塁打を放って3点を加え、さらに並木恒太朗の適時打でもう1点。大量5点のリードを奪った。長曽根ストロングスは3回裏、死球と敵失で好機をつくり、六番の川添瑠希が2点二塁打、続く山田雄大も右前に運んで3点を返すと、5回には四球と4年・岡林優志の安打でチャンスを広げ、山田雄がたたいたバウンドの高い遊ゴロの間に2者がかえり同点に。最終6回裏、一死から一番・吉見憲眞が右中間に三塁打を放ち、次打者の捕逸でかえってサヨナラ勝ちを決めた。
■優勝
ながそね
長曽根ストロングス
[大阪府]
5点差を大逆転、劇的サヨナラV

最後に決めたのは、夏の全日本学童マクドナルド・トーナメントでも6年生たちに交じって攻守に活躍、同大会V8に大貢献した吉見憲眞だった。
最終6回裏、一死走者なしから右中間を破る三塁打。そして次打者のときの捕逸でサヨナラのホームへ。「この試合で一本も打ててなかったから、絶対にここで、と思って打ちました。ベース回ってるときはランニングホームラン行けるかなと思ったけど、ちょっと無理で…」。そう振り返ったヒーローは続けて、「それでも、その後にキャッチャーがポロしたときは、迷わず良いスタートが切れたと思います」と振り返った。
最終6回裏一死走者なし、右中間に三塁差を放った長曽根ストロングス・吉見憲眞㊤㊦

大会MVPに選ばれた吉見のほか、四番ファーストの山田蒼、準決勝で力投の山瀬晴、この日は主にマスクをかぶり、扇の要としてチームを支えた4年生の岡林優志ら、全国出場していたメンバーのほかにも、「今日は落ち着いて投げられました」と決勝のマウンドを振り返る川添瑠希、「外野の守備はとにかくめっちゃうまい」と熊田耐樹監督も太鼓判で、キャプテンに指名された山田雄大ら実力派メンバーがそろう、長曽根の新チーム。
5点差をひっくり返しての逆転サヨナラと、勝負強さも感じさせる戦いぶりだったが、熊田監督は「まだまだですわ」と厳しい。「5点取られて、元気なくなってしまって。あと1点、2点取られてたら、そのまま行ってしまったかもしれません」。さらに続ける。「正直、実力で言うたら、このチームは今年の6年チームよりも力はある。ただ、まだ『長曽根魂』が足りません」
3回裏二死二、三塁、左越えに2点適時二塁打を放つ長曽根・川添㊤ 5回裏一死二、三塁、長曽根は山田雄の遊ゴロで二走の川添も一気に帰還㊦

長曽根魂──。熊田監督が常に口にする言葉だ。昨夏、「日本一の力はない」と言っていた6年生チームが全日本学童で勝ち続けた戦いに、その一端を見た気はした。ここぞの場面において、驚くほどチーム一丸の強さを見せる、爆発的な力…。この日の決勝の逆転劇も長曽根魂の発露だったのではないのかと問うと、否定されたうえで、こんな答えが返ってきた。
「今年は6年生が少なかったこともあって、上のチームで戦ってきた5年生も多い。今も6年生の試合になると、彼らはそっちのチームで試合をすることになります。それもあって、新チームにはまだ、『魂』と呼べるような一体感が足らへんのです」

だとするなら、このチームはまだ、これからさらに強くなるということになる。
「昨日と今日、2日間で山梨1チーム、東京3チームと試合をさせてもらいました。どのチームも強かった。こういう戦いが、チームのためにもいい経験になるんです」
3回戦(初戦)では関東新人戦準Vのラウンダース(山梨・山梨市)、準々決勝では葛西ファイターズ(東京・江戸川区)、準決勝では用賀ベアーズ(同・世田谷区)と戦った長曽根。この大会を契機に、王者はさらに、強さを増していくことになるのだろうか。その進化を見届けたいものだ。
■準優勝
レッドサンズ
[東京都]
追いつかれるのは想定内も、Vスルリ

「参りました」
レッドサンズの門田憲治監督はそう言って、弱弱しく笑った。「『シルバーコレクター』なんて称号をもらわないようにしないと…」。レッドファイヤーズ(足立区)に最大7点差をひっくり返されて敗れた、10月の東京都学童新人戦決勝の苦い記憶も頭をよぎる。
だが、その都新人戦後の大阪遠征では、長曽根主催の来夏全国大会を目指す「秋の陣」に参戦し、北ナニワハヤテタイガース(兵庫)、北名古屋ドリームス(愛知)など強豪を破り優勝している(長曽根との直接対決はなし)。
「長曽根さんとは練習試合をさせてもらったんですが、そこでは0対1で負けたんですよね。相手は無四球ノーエラーで…」

1回表一死二、三塁、レッドサンズは暴投で三走の原川が先制のホームイン㊤ 1回表一死二、三塁、レッドサンズ・野村が中越えに2点適時打を放つ㊦

続いてこの日の戦いを振り返り、初回の5得点後も、油断はなかったと言い切る。
「選手たちにはずっと言い続けていたんです。あと1点、2点取らないと勝てない、と。5点では必ず追いつかれるぞ、と」
結局、追加点を奪うことはできず、指揮官の予言通りに追いつかれ、最後はサヨナラ負けを喫してしまった。
「チーム事情の違いもあって、ウチは長曽根さんと同じような練習はできません。活動はほぼ土日に限られますし、平日練習は個々にゆだねられる。守備、走塁、バッティング…。長曽根さんのあそこまでの一体感は、あの厳しい練習があればこそ」。門田監督は続けた。「だから、ウチの選手たちが同じ実力をつけたとしても、長曽根さんにはかなわない。ウチが勝つためには、たとえどこか1点でも、彼らを超える部分がなければだめなんです」
この日の一戦についていえば、リードを奪った序盤になおもしつこく攻めて、どうにかダメ押しの追加点が奪えていれば…といったところだろうか。

1回表二死二塁、レッドサンズ・並木が左前に5点目の適時打を放つ㊤ 決勝で先発したレッドサンズ・大塚㊦

とはいえ、悔しい敗戦に終わった戦いの中にも、収穫はあったようだ。準決勝で先発した竹内勇泰も、決勝で先発した大塚結心も「コースをついて勝負できた」(竹内)、「落ち着いて投げることができました」(大塚)と、それぞれに今後に向け手応えを感じている様子だった。
低学年チームの時代から安定した強さを誇り、さらに新人戦後も一戦一戦、得難い経験を重ね、確実に力をつけているレッドサンズ新チーム。東京での実力上位は間違いない。ここ2年は全国大会出場を逃しているが、3年ぶりの大舞台出場に向け、前進を続けているのは確かなようだ。

■準決勝
長曽根が用賀との接戦制し決勝へ
11月30日◇吉川市旭公園球場
▽第1試合
長曽根ストロングス(大阪・松原市)
110023=7
020020=4
用賀ベアーズ(東京・世田谷)
【長】山瀬、辻井、山瀬、川添ー岡林
【用】佐藤、藤熊、常永ー並里、鵜入
二塁打/渡辺、早川、大野(用)山田蒼(長)
【評】長曽根ストロングスは1回表、北原優響の安打と山田蒼の適時打で先制し、2回にも日本松龍の安打と山田雄大の適時打で加点。用賀ベアーズはその裏に大野時生の安打と渡辺優太郎、早川和輝の連続適時二塁打で同点とした。長曽根は5回にも吉見憲眞の安打、山田蒼の適時打などで2点を加えるが、その裏に用賀も大野の適時二塁打で再び同点に。それでも、長曽根は最終6回、無死一、三塁から辻井恭悟のスクイズが安打となり1点、さらに死球で塁を埋めると、内野ゴロの間に2点を奪って3点を勝ち越し、勝負を決めた。

▽用賀ベアーズ・村上太郎監督「相手は日本一のチーム。勝たせてあげたかったが、一方的にさせず、よく戦ってくれた。いい試合で大会を終えることができました」
▽同・佐藤傳修投手「相手打線はボールを捉えるのがうまく、投げづらかった。ただ、ストライクで勝負して、打たせて取れたのは良かったと思う」
茎崎、反撃も及ばす「これから」
▽第2試合
茎崎ファイターズ(茨城・つくば市)
000002=2
00400X=4
レッドサンズ(東京・文京区)
【茎】百村ー宮下
【レ】竹内、齊藤ー原川
二塁打/宮下、百村(茎)原川(レ)
【評】レッドサンズは3回裏、加藤光志朗の安打、神谷駿の内野安打に続き、原川瑛仁が右翼線に適時二塁打を放ち2点を先取、さらに山本駿翔の適時打などでもう2点を奪った。一方、ホームが遠かった茎崎ファイターズは最終6回に柿沼尚乃右の安打、百村優貴の適時二塁打などで2点を返したが、反撃もそこまで。レッドサンズが逃げ切って勝利を挙げた。

▽茎崎ファイターズ・吉田祐司監督「まだこれからのチーム。守備も、バッテリーも。淡々と戦ってしまっている。もっと勝利への執着心のようなものが欲しい」
▽同・百村優貴投手「フォームを意識して、最後まで投げ切れたのは良かったです。チームとしては、一人ひとりの意識をもっと高く持って、一丸で戦えるようになりたい」
■準々決勝
長曽根ストロングス10対0葛西ファイターズ(東京・江戸川区)
用賀ベアーズ6対0高島エイト(東京・板橋区)
レッドサンズ5対1豊上ジュニアーズ(千葉・柏市)
茎崎ファイターズ12対5オール富山少年野球クラブ(富山・富山市)